SSDの故障をひも解く

 

SSDはアクセス速度が速く、ハードディスクドライブ(HDD)と比べて衝撃に強く、記録容量は年々大きくなってきているので様々なアプリケーション向けに用途が拡大しています。一方、HDDとは構造が全く違うため、認識できない、読み込みできないなどの不具合の原因もHDDとは異なります。SSDの故障とはどの様なものなのか、ひも解いていきます。

SSDの構造

まず、SSDの構造を見ていきましょう。SSDは、データを保存するNAND Flashに加え、SSD全体の機能をコントロールするコントローラと、データを一時的に保存するバッファメモリの役割を担うDRAMで主に構成されています。ホストのデータを直接NAND Flashに書き込むのは時間が掛かるため、一旦、DRAMに書き込みます。DRAMをバッファメモリとして使うことにより、ホストを待たせずに書き込みを進めることができます。

<図1> SSDの構造

システムの不具合が多い

米国のデータ復旧サービス企業が調査した結果によると、SSDが故障してデータを読み書きできなくなる原因の65%はシステムの不具合が占めているとのことです。一方、半導体チップの不良による電気的な不具合は5%と少ない状況でした。つまり、図1で示したSSDの構造の中では、ホストマシンとコントローラに関わる不具合が大半を占めており、NAND Flashの不具合によるSSDの故障は少ない状況です。

システムの不具合とは、ファームウェアの不具合やマッピングテーブルの不具合などです。ファームウェアの不具合は、ファームウェアのアップデートに失敗した際だけでなく、SSDが動作中に発生する場合もあります。マッピングテーブルは、データのマッピングを物理的なマッピングから論理的なマッピングに変換するテーブルです。

使うほど寿命は縮まる

SSDはNAND Flashにデータを保存することでデータを記憶しますが、NAND Flashはその特性上、使えば使うほど劣化していきます。NAND Flashのメモリセルは図2の様な断面構造になっており、トンネル酸化膜(絶縁膜)を通してフローティングゲートへトンネル電流を流して電荷を注入したり引き抜いたりすることで、データの書き込みや消去を行っています。そのため、書き込みや消去を繰り返すと絶縁膜に何度もトンネル電流を流すことになるので膜質が劣化し、NAND Flashの寿命が縮まっていきます。そこで、SSDは書き換え回数を制限しており、書き換え回数が増えるほどSSDとしての寿命は縮まっていきます。

<図2> メモリセルの断面構造

コントローラが寿命劣化をカバーしている

書き込みや消去を行うことによるNAND Flashの物理的劣化は避けられないですが、SSDはコントローラの機能により様々な延命を図っています。まず、特定のメモリセルでの書き換え回数が突出しない様、 「ウェアレベリング」 で書き込むエリアを平準化しています。それでも劣化したメモリセルにより発生したビット不良を 「ECC(誤り訂正符号)」 機能で検出してデータを訂正します。劣化したメモリセルが多い場合はデータの訂正ができなくなり、 不良ブロックとして扱われ、データの読み書きを禁止します。NAND Flashは、不良ブロックを差し替えるための正常なブロックである 「冗長ブロック」 を用意しており、不良ブロックが発生したら冗長ブロックに差し替えています。これら一連の機能をコントローラが担っており、書き込みや消去による寿命劣化をカバーしています。

製品情報

アドテックは、故障の大半を占めるシステムの不具合を未然に防ぐため、サポート体制を充実させております。産業用途向けのお客様には、製品導入前にホスト側の仕様やSSDの使い方、当社製品の仕様についてお客様と十分なすり合わせを行っております。万が一不具合が発生した場合は、迅速にサポートさせて頂く品質保証体制を整えております。民生用途向けのお客様には、アドテックサポートセンターがサポートいたします。当社SSD製品の特徴や仕様については下記情報をご覧ください。

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